交通事故で被害者等の当事者になった際に行われる警察からの事情聴取とは?

交通事故1

交通事故が起きると、警察が加害者を取り調べ、被害者に事情聴取します。特に、損害の状況について詳しく把握するためには、被害者からの事情聴取が重要だと言えるでしょう。警察の事情聴取は、どのように行われるのでしょうか?また、事情聴取の際には、被害者はどんなことに注意して応答する必要があるのでしょうか?交通事故の事情聴取について解説します。

交通事故における被害者と加害者の決め方と交渉方法について

交通事故が起きたら、警察が実況見分を行う

交通事故が起きて負傷者がいれば、当事者は被害者を救護しつつ、まず救急車を呼ぶでしょう。同時に現場検証のため警察も呼ぶことが必要です。

警察が作成する事故報告書が、その後の示談交渉や司法手続きに欠かせません。警察は、事故現場の状況を把握するため、事故の起きた地点や事故前の当事者の位置関係などを調べます。現場に落ちている車の部品や携行品などの証拠品の回収も怠りません。

衝突地点から証拠物がどれくらい離れた位置に落ちていたか調査するため、巻尺を使って距離を測ることも多いでしょう。負傷者は病院に運ばれるため、実況見分に立ち会えないことも多いのですが、可能な限り当事者は実況見分に参加し、警察からの質問に答えることになります。

実況見分の際に注意すべき点

実況見分では、警察が現場の状況や証拠品から事故の一部始終を推察することになります。事故の経過を把握できれば、事故原因も特定できるのです。警察官は、経験則に基づき、事故当時の状況を頭の中で再現していくので、当時者の記憶と食い違う推測を行うこともあるでしょう。

例えば、加害者の車のスピードから考えると、車に跳ね飛ばされた被害者の落下位置は、衝突地点からどれくらい離れた地点になるかという事実認定について、警察の認識と当時者の記憶に齟齬が生じることは珍しくありません。

車の速度をそれほど出していなかったと主張したい加害者は、それほど跳ね飛ばされていないと言うでしょう。特に、自転車の速度については、速度計があるわけではないので、当事者の認識も曖昧です。

しかし、警察の言い分も推測に基づくものですから、当事者の記憶の方が確かだというケースも少なくありません。実況見分の結果、警察が経験則によって出した判断に対して、当事者が違うと感じたら遠慮せずに「私の認識は違います」と明確に意思表示しましょう。

おかしいと思っていても否定や訂正をしないと、実況見分はそのまま進められ、当事者の意見を基にしたものとして実況見分調書が作られてしまいます。

この調書に従って、警察が送検するかどうか決断することになるので、いい加減な妥協は避けましょう。

事故後に日を改めて事情聴取が行われる

証拠隠滅のおそれや犯人隠匿の可能性があるような重大事故を除き、加害者が身柄を拘束されることは滅多にありません。交通事故の場合は、死亡事故であっても、逮捕されて取り調べを受けたら解放されることが多いです。

事故の後で当事者は警察から呼び出され、あらためて事情聴取や取り調べが行われます。特に、負傷して実況見分に参加できなかった被害者に対しては、時間をかけて事情聴取が行われるでしょう。

交通事故被害者支援センターについて

加害者に対する取り調べ

人身事故の場合、交通事故の加害者は、自動車運転者なら自動車運転過失致死傷罪や危険運転致死傷罪の罪責を問われる可能性があります。自転車に乗っていて歩行者に怪我をさせた場合も、過失傷害罪になることがあるでしょう。

刑事手続の対象となった加害者は、警察の取り調べを受けることになるのですが、加害者であることから遠慮する気持ちが生まれ、多少警察の言い分に不満があっても反論しないケースも少なくありません。警察が対応しているうちは被疑者であり、犯罪者ではないのですから、自分の主張を堂々と述べても問題ないのです。

被害者が重傷を負っている場合、加害者に重過失の認識が無くても重過失傷害罪で送検されることがあります。警察での取り調べでは、加害者から員面調書(司法警察職員面前調書)が取られて、捜査や裁判の資料になります。

この調書が作成されると加害者は内容を確認し、押印するか指紋押捺をしなければなりません。

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被害者に対する事情聴取

被害者不在の実況見分に関しては、その後の事情聴取で被害者が異議申し立てをすることも可能です。加害者寄りの偏った内容になっていたら、被害者は事情聴取の場で遠慮なく反論しなければなりません。

警察官は、実況見分で作成したメモや交通事故現場見取図などを見ながら被害者から事情聴取を行い参考人調書を作成します。参考人調書を作成すると全文を読み聞かせ、間違いを指摘されたら修正します。被害者は参考人調書につき異議が無ければ調書に印鑑を押さなければなりません。

印鑑を持っていなければ、署名では済まされず、指紋押捺を求められるでしょう。この点は、加害者の取り調べと変わりません。参考人調書は、被害者の心情を検察官や裁判官が知るうえで重要な資料になります。加害者に対する損害賠償請求訴訟などでも大きな影響を与えることになるでしょう。

警察は全能の神ではないので、真実に沿った判断をしてくれるとは限りません。警察なりの経験則に従って事故経過につきストーリーを組み立て、調書を作成することも少なくないのです。事故経過について警察が想定するままに任せていたら、いつの間にか被害者に不利な事実を書かれてしまう恐れがあります。

被害者が事故処理の素人であることから、つい警察の判断に全てを任せようという気持ちになりがちですが、後で後悔しないよう調書の作成につき十分な監視が必要です。

被害者は、自分の記憶を頼りにしっかりと事実を述べなければなりません。また、警察は、事情聴取において、加害者に対する被害者の気持ちについて質問します。加害者の刑罰を決めるうえで参考にするためですが、むやみに重い処罰を求めると、検察官や裁判官から、憎悪に囚われて冷静な判断ができない被害者として扱われるかもしれません。

加害者に求める適切な処分は何か冷静に考えてから、警察に伝えるようにしましょう。

交通事故の被害者と生活費

事情聴取ではしっかりと自分の認識した通りに供述しよう!

交通事故の被害者になった場合、警察から事情聴取を受けて参考人調書の作成に協力しなければなりません。被害者だからといって、警察が同情して被害者に有利な内容の調書を作ってくれるわけではないので、警察の誘導に安易に乗らず、自分が事故当時に認識した通りの供述をしましょう。

警察の想定に頼りきりでは、後の裁判や損害賠償請求において、不利な立場に立たされることがあります。